#詩

みどりの日干拓地6句

初夏の花 どの径ゆけど しろじろと ここではからず 知る人に遇ふ

西讃方言物語

あなたのお国ことばとはほど遠い『方言物語』です。 【第一話】 彼のあだ名は「ざいごのすねぐろ」と呼ばれました。 さしあたって、彼を主人公として話を始めることにいたしましょうか。 厄介なことですが、すべて注釈を付けていきますから、話はスムーズに…

小豆島讃歌

この新聞記事を十四日朝見つけた勝久は、一瞬血の気が引いていくのを覚えた。 須永紘子は紛れもなくあの須永紘子に違いない しばらく会っていないが、初めての教え子で、因縁浅からぬものでつながっていた。それなのに、ある日突然こんな形で死を知らされる…

精神の高さ

精神の高さ 余所の子の背が高い。とても我が家の子に比べようもない。 比較するのは止めよう。偏差値も問題ではない。 少しくらい他人より勝っていてどうだと言うのだ。 大きく差をつけられていてどうだというのだ。 オリンピックでメダルを取れなくてどうだ…

一行あったら、人の一生を表せる。

人生は一行のボードレールに若かない (その3) ●『悪の華』で退廃美と反逆の情熱をうたい、風俗壊乱で提訴されたボードレール。 ●たかが十七文字の俳句に命を懸けた俳人。辞世の句を詠みつづけた俳聖芭蕉。 ●万葉集の研究に生涯を懸けた鹿持雅澄。その名をも…

運命のいたずら

田螺の呟き どんなに才能があっても 運命のいたずらで 貧乏籤を引いてしまう 反対に 大した才能もないのに とんとん拍子に 上へ上っていける 何が その両方の道が分かれて ますます離れてしまうのだろうか それは その人に与えられた運命で どうにもならない…

余命いくばく か

余命いくばくもないと言われれれば 余命いくばくもないと言われれれば どうしよう どうあがいても 後三ヵ月と言われれば 身の回りの整理をするとしても 知れている ただぼんやりと 佇んで居るだろうか 行ったり来たり ラチのあかないことをするだろうか お祈…

松葉海蘭のあなた

二十年前 あなたは その花の名を私に聞いた 私は答えられなかった そっと調べて 教えてあげた その花の名は 松葉海蘭 ウンランなのだ 華奢な その花 あなた そっくりの その花 外来種 帰化植物 どこの国から どのようにして 飛んできたのか 運んできたのか …

どっちもどっち されど光りを

どっちもどっち 戦争をする国々はどっちもどっち 欧米諸国 中東諸国 どっちもどっち キリスト教もイスラム教 どっちもどっち 自民党も民進党 どっちもどっち 宗派対立 党派対立 どっちもどっち 争いのあるところに 美は育たない 芸術は その真価を現さない …

何度も見たい、ずっと見ていたいもの

何度も見たい、ずっと見ていたいもの それが芸術かもしれない 人間のあえて美しく造ったもの それもいいし 人工によらない自然のままでも 美しいものは いっぱいある それを紹介するのは こころある者のつとめであろう 誰も等しく美しいと共感するものもあろ…

昨夜の夢に出てきた女人は誰だったのか

昨 夜 の 夢 「箕浦駅で汽車に乗るから」 そう言って彼女はそそくさと帰って行った。 ぼくはその時あいにく誰かと話し込んでいて、彼女が会いに来てくれたのに、すぐ追い返すことになったのだ。話を早く切り上げて、彼女の後を急いで追うことにした。 夢の中…

小品「一里塚」

小説 一 里 塚 (一) 「光ちゃんが好きで好きでたまらんの」 なんのはずみで竹夫に打ち明けたのか、覚えていない。確か高校を卒業してからのことだったろう。一波吹き荒れた後に志乃のもらした言葉だった。 志乃と光子は小学校以来の親友で、それぞれの個性を…

裏径もみじ夕映えて

そこは 私独りの径 一夜庵裏径 もみじ夕映えて ちちははのおくつき 裏径また夕映えて そこは独りの私の径 2018 12 18 夕方

万事うまくいっている。

彼は美貌の文学少女に憧れていた。当然、結婚する相手もこの二つの条件が当てはまらなければならなかった。ところが、うかうかするうちに、三十に近くなってくると、この二つから一つを捨てなければいけないような気になり出した。 文学少女であれば、醜女…

ね~ちょっと こっち向いて

ね~ちょっと こっち向いて 恥かしがらないで…

花に蝶、あなたに出会って倖せ

誰がこの幸せを知ろうか、あなたとわたしだけ。 秋澄みて ただこのひと時を 生きてます

夜のしじまの呟き

夜のしじまの呟き 酒を飲むと自慢話をする、他人の思惑も考えない人が。子や孫の高学歴を吹聴する。そんなことは触れられたくない人が目の前にいるのもお構いなしにね。そうでなければ、他人の蔭口悪口を言う。職場の上司、先輩などに苛められている鬱憤を晴…

せせこましい話

小作の片意地 自分は小作人の倅に生まれたことを意識したことがあるだろうか。地主に搾取されて年貢をどれだけ払わされたことだろう。汗水たらして働いても、一反に一~二俵は持って行かれたのではなかろうか。いつからか、と言われても、ずっと昔からと言…

アンパンマン電車に乗りませんか

このように派手な電車が、他にありますか? ここは四国は予讃線です。

寸暇を惜しんで

寸暇を惜しんで この言葉を使って、僕の受験時代を表現してくれたのは親戚の小母さんだった。その時、やや違和感を覚えたものである。この言葉は、たとえば仕事に忙しいが、わずかな時間を見つけて読書するというのがふさわしいのだろう。たしかに、四六時中…

台風余波の渚

渚 剣持雅澄の詩 渚 剣持雅澄 作詞 市原和代 作曲 高橋徹鉄雄 編曲 一 青い波よ 白い砂よ ふるさとの海に 命あふれ 父親は その子に 渚と名付けた 明るく明るく 清らかな 瞳をもつ子に なるように 二 青い風よ 白い花よ ふるさとの海に 光あふれ 母親は その…

連作『渚』まとめる

「渚」と題する過去四作品をまとめて一冊にする。

サンビーチ「渚」にて

夏休みに入って間もないのに、海水浴客がないのです。渚の美しく、降り注ぐ光 輝くサンビーチと名づけられた海浜でありますのに、どうしたことなのでしょう。見下ろす仁尾街道から下に降りて、この休憩所に憩うことは散策者の自然な気持ちであります。この…

渚に関する小品

半世紀に亘ってだらだらと書いて来た私の作品。小説とも随筆とも区分しにくい作品。唯一「渚」なる作詞もある。むしろこの歌詞に命を懸けた。 ①「渚よ」 『連翹の島』(昭和56年刊)に掲載、5頁の小品 ②「渚の回復」 『随筆無帽』224号(昭和57年6月号) ③「渚」…

不意の訪問でも歓迎してくれる。

不意の訪問で門前払いは宗教の勧め。 押し売りはこの頃少なくなった。 ものを上げに行くのは喜ばれるか。 怪しまれるだけである。 いつか仏さん供花してくれて感激していると 選挙に投票してくれることが魂胆であった。 今日はすでに発表している文章再掲の…

一葉舟

一 葉 舟 序 詩 天の河原をながむれば/星の力はおとろへて/遠きむかしのゆめのあと/こゝにちとせをすぎにけり/そらの泉をよのひとの/汲むにまかせてわきいでし/天の河原はかれはてゝ/水はいづこにうせつらむ/ひゞきをあげよ織姫よ/みどりの空はかは…

パリーの女

現実の美女は儚し 芸術の中の女は永久の命帯ぶ 雅子

カモメとともに

~カモメとともに~ 都鳥も海猫もカモメです。 親しみやすい都鳥↑ 警戒心が強い海猫↓ 鳥は逃げる警戒心が身に付いていて、少し近づいてカメラを向けると、逃げる。そっと気づかれぬように観察者は隠れて身構えるのだろう。自分はこれまでそのようなことをし…

裁縫先生

裁縫先生 剣持雅澄 母は裁縫先生と呼ばれていた。 小学校で長い間裁縫専任教師をしていたし、退職後も家で嫁入り前の娘に裁縫を教えたり、縫い物の賃仕事をしたりしていた。全科を教える教師でありたかったが、家が貧しく女学校にも師範学校にも行けなかっ…

岬を越えて(ラジオドラマ)

母 信子の「遺稿」 剣持雅澄 母信子は昭和四十二年九月二十六日三豊病院で病死した。生年月日は明治三十七年三月三十一日(繰り上げ)なので享年は六十三歳六ヵ月(満年齢)。 見果てぬ夢は香川菊池寛賞受賞であって、これはその悲願を昭和五十六年第十六回「俳…