運命のいたずら

            田螺の呟き
 どんなに才能があっても 運命のいたずらで 貧乏籤を引いてしまう
 反対に 大した才能もないのに とんとん拍子に 上へ上っていける
 何が その両方の道が分かれて ますます離れてしまうのだろうか
 それは その人に与えられた運命で どうにもならないものなのだろうか
 あるいはまた その人自身の 努力のあるなしに因るのだろうか
 自業自得 身から出た錆 自己責任に帰せしめようとするのだろうか
 実益志向 功利主義 将来の設計図を書いて実現に向かうのかどうか
 いわば 志があったのかなかったのか そこに帰する
 もう一度 生まれ変わって来なければ 取り返しのつかない人も
 もう十分 思いを叶えられて いつ死んでも悔いない人もある
 ただ どちらにしても そう大した違いはない
 この世に遺すことに どれほどの差があるというのか
 偉そうなことを言ってもしても ほとんど0に等しいことばかり
 一人の個人の造ったものは遅かれ早かれ 皆消えていく
 消えていくから 塵芥が残らないのでいい
 墓石が地上に充満したら困る 履歴書が山積しても厄介だ
 生き物人類の究極の希求 永遠の命 死なない薬
 それが発明できれば これ以上のものはない
 死者を蘇らせたら その奇跡は絶対のものだろう
 そんなもののない限り 大同小異 ほとんどナンセンスなものばかり
 目くじら立てて 毀誉褒貶 取捨選択などするも疎かではある
 虚無主義でも 観念論でもなく ただ普通に考えて
 今日ある命を大切に 今一瞬をかけがえのないものとして
 過去と未来のはざまに 生きていることに 感謝しながら
 神仏に頼るもよし 頼らぬもよし
 誰の指図も受けず 自由を満喫できるほど幸せなことはない
 自分や家族に病ありて 明日の命も保証されていない場合
 この限りではあるまい
 それはそれなりに悩み 抜けようと努力するしかない
 それも叶えられねば 諦めるか 悟りまで昇華できるか
 人はみな 生老病死の四苦を体現して 無に帰する
 誰一人例外なく その道をあゆむ
 なんという 平等観に立っていることだろう
 自分だけは 他の人とは違って 永遠の命がほしい
 そういうさもしい心根の人はいるかもしれない
 いる いる みんなふと 一度はそんな気になったことがあるはずだ
 煩悩から脱却して 清々しく極楽往生 あるいは昇天(召天)できる人は
 どれほどいるのであろう それを聞いてみたいと思う
イメージ 1