#読書

夏石番矢俳句著書4冊

夏石番矢 俳句著書4冊 『世界俳句入門』 沖積社刊 俳句はもはや、日本人や日本語の独占物ではなく、世界的に広がる、普遍的な短詩となりつつある。 グローバル俳句フェスティバルに参加、世界俳句紀行、国境を超える裸の表現、全世界で愛される短詩へ 『現代…

加藤郁乎『日本は俳句の国か』

、 加藤郁乎が『日本は俳句の国か』(平成8年、角川書店刊)で紹介している俳句(古今混在)から 西行も未だ見ぬ花の郭かな 山東京伝 何の木の花とはしらずにほひかな 松尾芭蕉 散花に南無阿弥陀仏とゆふべ哉 荒木田守武 しらぬまにつもりし雪のふかさかな …

漱石『木屑録』

『漱石の夏やすみ-房総紀行『木屑録』』 高島俊男著の評論。 夏目漱石が23歳の時、漢文で書いた紀行文『木屑録』を日本語に訳し、支那語(現代中国語などと区別)の文章という観点や漢詩の規則という観点で批評・評論。漱石の教養の土台や日本における「漢文…

戦艦武蔵

武蔵は、第二次世界大戦中に建造された大日本帝国海軍の大和型戦艦の二番艦である。当時は武藏と表記された。この名を持つ大日本帝国海軍の艦船としては3 隻目にあたる。また、武蔵は大日本帝国海軍が建造した最後の戦艦でもあった。

堀口大学訳詩集『月下の一群』

秋の歌 ポ-ル・ヴェルレエン 堀口大學訳 『月下の一群』 秋の ヴィオロンの 節ながき啜泣(すすりなき) もの憂き哀しみに わが魂を 痛ましむ。 ◎ 落 葉 ヴェルレーヌ 上田敏訳 『海潮音』 秋の日の ヴオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し…

つばくろの日々

『つばくろの日々 現代俳句の現場』 平成6年刊 宇多 喜代子著 日野草城、高屋窓秋、桂 信子、鈴木六林男、金子兜太、中村苑子ら、詩の恩寵を索めて孤独に遍歴する俳人たちの現在的生を読み解く犀利な論稿。 ただそれだけでなく、ウィットの効いた面白い筆致…

永田耕衣著『名句入門』

古今の名句に解説、独自の批評をしたもの 冒頭の一句は、芭蕉の「荒海や佐渡に横たふ天の川」 朝顔の紺のかなたの月日かな 石田波郷 月明の宙に出で行き遊びけり 山口誓子 冬蜂の死にどころなく歩きけり 村上鬼城 冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋桜…

山頭火の秀句

『山頭火の秀句 果てもない旅から』上田都史著 鉄鉢の中へも霰 分け入っても分け入っても青い山 うしろすがたのしぐれてゆくか はなれてひとりのみのむしもひとり ぼろきてすずしい一人が歩く さくらさくらさくさくらちるさくら 秋兎死(あきとし)うたうてガ…

ハイカイ本『俳句の国徘徊記』

~主な内容は下記の如し~ 『俳句の国徘徊記』 評論集 著者=飯島 耕一 俳句とは何か、曰く「一口で吐く宇宙図、宇宙音」 即ち「ポエジーを濾過した視線で芭蕉ほか、西東三鬼、夏石番矢など現代俳句を渉猟する」エッセイ集 1988年刊 おくのほそ道 雲に鳥 芭…

薬と文学

感受性に様々な影を落とす「薬」の問題を取り上げた文学作品12編 1 有吉佐和子『華岡青洲の妻』 先駆的な麻酔薬を試した女たち …加恵は姑於継への恨みを浄化する。 2 泉 鏡花『外科室』 麻酔剤を拒否した伯爵夫人…メスを奪って自分の胸に突き刺し自害する。 …

死すべき定め~死にゆく人に何ができるか~

外科医が見た看取りと死 「はたして医師は最善を尽くしているか」への問い 「豊かに死ぬ」ために必要なことを私たちはほとんど何も知らない。 今日寿命が大きく延びたことにより、人は癌などの重篤な病いと闘う機会が増えた。老人ホームやホスピスなど家族以…

他諺の空似

「医者の不養生」~「終わりよければ全てよし」全29諺の題目で書いたエッセー集。 「目糞鼻糞を笑う」という諺は、ロシアでは「屑が埃を笑う」、アフリカでは「猿の尻笑い」…と世界中に似たような諺は多い。「自業自得」(日本)…「井戸に唾すれば自分がその…

唐木順三『無常』論

詠嘆的無常から自覚的無常へ…『徒然草』の場合 兼好は初期においては、心の優位、心の働きを第一義と考え、詠嘆的無常に流されていた。ところが、時を経て、三四十段あたりから、心の優位が失われて、「心そのものも無常である」という認知にいたる。全く加…

吉田松陰、松下村塾

2015年大河ドラマ「花燃ゆ」ホームページ。明治維新を生き抜いた女性がいた。 吉田松陰の妹・文。久坂玄瑞の妻となり、激動の長州藩の運命に翻弄されながらも、 2015年2月22日(日) 熱血先生誕生!日本一の塾から未来を作る人材続々…

出ました『完成版 かもめのジョナサン』

原著と翻訳、両方を読み直す必要あり。 40年前に買って読み、本棚の片隅にあったもの 40年前のものと、今回のものと併読する必要あり。 本日、世界的ブームになった米国の小説「かもめのジョナサン」の「完成版」が、 40年の時を経て出版された。作者リチ…

中西進著『亀が鳴く国』角川学芸ブックス

名づけの名人中西進氏の『亀が鳴く国 日本の風土と詩歌』という心のこもった書。 氏は名だたる万葉学者。多くその歌を引きながら、古来の日本人美意識をたどる。それは暮らしの中でどのように育まれたのか、風土が生み成した短歌・俳句を手がかりに、文化の…

「生き様」は語感がよくないか?

「生き様(ざま)」に関して槍玉に挙げられることは、周知のとおりである。 辞書の記載を比べてみよう。 岩波書店『広辞苑』 自分の過ごしてきたぶざまな生き方。転じて、人の生き方。「すさまじいー」 三省堂『大辞林』 生きていくにあたってのありさま。生き…

涼野海音氏の俳句鑑賞文

俳誌『樫 KASI』73号に掲載されている涼野海音氏の執筆した俳句鑑賞文を紹介します。 これはこの俳句会代表森田智子第四句集『定景』を読んで、一句鑑賞、共鳴5句の紹介になっております。 遮断機にさえぎられたる初景色 この一句を選び「季語のもつ底力に圧…

代表的日本人100人を選ぶ

『文藝春秋』平成18年特別版8月臨時増刊号に「代表的日本人100人を選ぶ」という特別企画があった。1908年の内村鑑三「代表的日本人」に範をとったものだが、そこでは「わが国民の長所を外の世界に知らせる」ために、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江…

桜を古歌に見る日本人の精神史『花のかたち』

中西進著『花のかたち 日本人と桜』(角川書店) 桜 その連綿する美の心象 古典、特に古歌に詠まれた桜を取り出し、そこに日本人の美意識の変遷をたどる。『日本書紀』にすでに「花ぐはし桜の愛で」と女の盛りの美しさを桜の美しさと重ね、そのたまゆらにすぎ…