中西進著『亀が鳴く国』角川学芸ブックス

名づけの名人中西進氏の『亀が鳴く国 日本の風土と詩歌』という心のこもった書。
氏は名だたる万葉学者。多くその歌を引きながら、古来の日本人美意識をたどる。それは暮らしの中でどのように育まれたのか、風土が生み成した短歌・俳句を手がかりに、文化の根底を深く探る。「亀鳴く」は春の季語。その虚にして虚にあらぬ大和心を解く。
 本書の構成内容は、次のように詩を風土・自然を体現することばとして捉えている。
・詩は心の器(伝統詩の文体、和歌の身体性、俳句の虚、世界の中の俳句…)
・自然は体の揺籃(桜と梅の歴史、花と人のいのち、花と心の交響、万葉人の四季)
・ことばは人間証明(種田山頭火永田耕衣とF.カプラ、石原八束、鷹羽狩行…)
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