薬と文学


 感受性に様々な影を落とす「薬」の問題を取り上げた文学作品12編

1 有吉佐和子華岡青洲の妻
    先駆的な麻酔薬を試した女たち …加恵は姑於継への恨みを浄化する。
2 泉 鏡花『外科室』
    麻酔剤を拒否した伯爵夫人…メスを奪って自分の胸に突き刺し自害する。
3 ブルガーコフモルヒネ』(町田清朗訳)
    渇仰と至福の万華鏡…医師のモルヒネ体験告白
4 太宰 治『HUMAN LOST
    パビナール中毒作家、精神疾患者の記録、苦悩を日記形式で
5 川口松太郎『媚薬』
    黒い丸薬の誘惑…宮内庁侍従の場合、その効き目に抵抗できなくなる。
6 松本清張『点と線』
    青酸カリは汚職・心中とよく似合う。
7 川端康成眠れる美女
    老いのエロスと睡眠薬…江口老人の傍らで眠っていた娘が頓死する。
8 村上 龍『超伝導ナイトクラブ』
    テクノロジーの果ての代謝物質…記憶を失くする薬や冬眠物質
9 中島たい子『漢方小説』
    都会の孤独と揺らぐ心…五人目の漢方医傾倒、自己回復へ
10 リリー・フランキー『東京タワー』
    そのとき、オカンは抗がん剤治療を拒んだ。
11 奥田英朗『オーナー』
    パニック障害への処方箋を書いてもらい、窮状を乗り越える。
12 林 宏司脚本『感染爆発』(NHKドラマ)
    パンデミックをもたらすウイルスの恐怖
     「ウイルスもしぶといが、結構人間もしぶといものだ」