死すべき定め~死にゆく人に何ができるか~

  外科医が見た看取りと死   
 「はたして医師は最善を尽くしているか」への問い
「豊かに死ぬ」ために必要なことを私たちはほとんど何も知らない。
今日寿命が大きく延びたことにより、人は癌などの重篤な病いと闘う機会が増えた。老人ホームやホスピスなど家族以外の人々も終末期に関わるようになり、死との向き合い方そのものが変わってしまった。この新しい終末期において、医師や周囲の人々は死にゆく人に何ができるかを問う。
 医療は命長引かせることはできても、抜本的に命を救い取ることはできない。
 「形あるものは崩れ去る」という絶対の宿命。その厳しい定めに身をゆだねる悟り。
 人々が老いていくときに必要なのは、医療だけでなく人生の厳しい終末を認識することである。それは、気の持ち方次第で人生の豊かで満ち足りた時を充実させることである。
 アメリカの医療は生きるために用意されている。著者は現役外科医であり、人生の終盤をよりよくするために奔走した人々のエピソードが綴られている。読者に自らの終末期の選択について問いを投げかけてくれる。終末期をどう生き、最期の時をどう迎えるのか。一語で「勇気」、豊かに死ぬために必要なことを何かを教えてくれる。