「生き様」は語感がよくないか?

「生き様(ざま)」に関して槍玉に挙げられることは、周知のとおりである。
辞書の記載を比べてみよう。
 
自分の過ごしてきたぶざまな生き方。転じて、人の生き方。「すさまじいー」 
 
 三省堂大辞林』  
生きていくにあたってありさ生き方のようす。 「すさまじいまでのー」
デジタルの解説《「死に様(ざま)」からの連想でできた語とされる》その人が生きていく態度ありさま。生き方。「はげしい―を描く」
 
その人の、人間性をまざまざと示した生活態度。〔「ざま」は、「様」の連濁現象によるもので、「ざまを見ろ」の「ざま」とは意味が違い、悪い寓意は全く無い。一部の人が、上記の理由でこの語をいやがるのは、全く謂れが無い。

 学研『現代新国語辞典』
その人のなまなましいまでの生き方。「奔放なーを描いた小説」 [参考]「死にざま」から類推して使われるようになった語。
 
 小学館『新撰国語辞典』
人生を過ごしていく態度。生き方。⇔死にざま。[参考]「死にざま」の類推からできた語。そのため悪い意味を感じる人もあるが、よい意味にも使われる。
 
 福武書店『国語辞典』、集英社『国語辞典』 小学館現代国語例解辞典
上記辞典には記載なし。
 
 [私見
 以上のように、「生き様」の記載はさまざまに揺れている。「死にざま」の類推から一般には語感がよくないと受け取られている。しかし、新明解の記載のように、この語の悪いイメージは払拭した方がよさそうだ。「生き様」は「生き様(ざま)」と読まずに「生き様(よう)」と読み、「生きる様態」なのだ。この語を使わないようにするなどと過敏にならない方がいい。「生き方」では堅い。「生き様(よう)」と読み変えれば、なんと柔らかく優しい日本語になることだろう。人にはそれぞれの生き様(よう)があって、それが生き甲斐に通じるのではなかろうか。