ハイカイ本『俳句の国徘徊記』

イメージ 1
              ~主な内容は下記の如し~   
 『俳句の国徘徊記』 評論集  著者=飯島 耕一
俳句とは何か、曰く「一口で吐く宇宙図、宇宙音」 即ち「ポエジーを濾過した視線で芭蕉ほか、西東三鬼、夏石番矢など現代俳句を渉猟する」エッセイ集 1988年刊
  おくのほそ道  雲に鳥 芭蕉      あやめ草足に結むすばん 芭蕉 
  芋の露 飯田蛇笏    鰤喰ひに 沢木欣一   船焼き捨てし 高柳重信 
  市に五虎石川淳丸谷才一大岡信     
  春昼の洋書部の句 西東三鬼   濃厚な色彩 富澤赤黄男 
  金剛の露ひとつぶや 川端茅舎  
  やまざとはまんざい遅し梅花 芭蕉・安東次男 
  雛の唇(くち)紅ぬるるまま幾世経し 山口青邨 
  子の皿に塩ふる音もみどりの夜 飯田龍太 
  白寂の夜の壮厳夏独り 高屋窓秋 
  百日紅浮世は熱きものと知りぬ 夏目漱石 
  汽車去つて稲の波うつ畑かな 漱石・子規 
  追羽子に舁かきゆく鮫の潮垂りぬ 水原秋櫻子 
  流るるは求むるなりと悠(おも)う悠(おも)う 金子兜太  
  先(まず)米の多い処で花の春 惟然 
  をかのべ何ぞかくかなしき 與謝蕪村 
  七夕や髪ぬれしまま人に逢ふ 橋本多佳子 
  千人が手を欄干や橋すゞみ 其角 
  湖水の秋の比良のはつ霜 芭蕉 
  盛塩の露にとけゆく夜ごろかな 荷風 
  古池や蛙飛こむ水のをと 芭蕉  
   *広島や卵食ふ時口ひらく 西東三鬼 
    清らかな生命体としての句 細見綾子    
    慈姑(くわゐ)食ふことの少なくなりし 川崎展宏 
    人はみな肉声もてりキートン忌 和子
   はじめに三鬼があった(あとがき)
     
 ★本書を徘徊して抜粋、ところどころ
    *三鬼の全句の中でも狂気を孕んだポエジーを最も多量に放電した句。
    ☆無季の句  しんしんと肺碧きまで海のたび 鳳作
    ☆荒事師の俳句 帰るとき足蹴りにしたり雨虎(ふらし) 湘子
    ☆「芭蕉や虚子と言わずとも、一人の流浪の俳人さえ見当らない」
    ★今の俳壇には外部からの批判がいま一度、どうしても必要である。

    ~俳諧を徘徊する面白さが本書だ~