2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

桜を古歌に見る日本人の精神史『花のかたち』

中西進著『花のかたち 日本人と桜』(角川書店) 桜 その連綿する美の心象 古典、特に古歌に詠まれた桜を取り出し、そこに日本人の美意識の変遷をたどる。『日本書紀』にすでに「花ぐはし桜の愛で」と女の盛りの美しさを桜の美しさと重ね、そのたまゆらにすぎ…

本居宣長『紫文要領』

宣長〈もののあはれ〉を説く最初の源氏物語論。 本書は源氏物語の主題を「もののあはれ」であるとする論を展開している。 「ただ人情の有りのまゝをしるして、見る人に人の情はかくのごとき物ぞといふ事をしらする也」とある。 宣長は奥書において本書の内容…

笑顔が絶対ではない

「いつも笑顔で」 「笑顔を忘れない」ことは必ずしも絶対ではない。 「勝ってもポーカーフェイスで、冷静でしたね」「喜びを顔に表す人は一人もありませんでしたね」…九州学院が女満別高校(21世紀わく)に6対0で勝った後、アナウンサーと解説者の会話であった…

短冊441

441 富士は磯なり日本一夜庵の雪 日州佐土原兼富

センバツ、選手宣誓の一句「答えのない悲しみ」は永遠の名句である。

第84回選抜高校野球大会の開会式選手宣誓 〔全文の構成〕 【起】宣誓。東日本大震災から一年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には、苦しくて心の整理がつかず、今も、当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、悲しみに暮れている方が…

どれだけ読めますかホトトギスの呼び名45語

1ほととぎす・とけん 2ほととぎす・ふじょき 3ほととぎす 4ほととぎす・しき 5 ほととぎす・かっこうちょう 6ほととぎす・とう 7ほととぎす・しょっこん 8 ほととぎす・しかく 9ほととぎす・しけん 10ほととぎす・とこん 11ほととぎす・しょくちょう 12 ほ…

「柞」の地名(音韻変化)

クヌギ http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a8/Quercus_acutissima.jpg 香川県内「柞」の地名(音韻変化) 柞kunugi ↓ ①柞野(kunigino) 仲多度郡まんのう町 kunigi ↓ ②柞田(kunita) 観音寺市柞田町 kuni ↓ ③柞原(kubara) 丸亀市柞原町 ku ☆正…

源氏物語・花散里(時鳥・橘)歌の贈答

光源氏25歳夏 五月雨の頃、源氏は故桐壺院の妃の一人麗景殿女御を訪ねる。妹の二の君(花散里)は源氏の恋人で、姉妹は院の没後源氏の庇護を頼りにひっそりと暮らしていた。訪問の途中、かつて会った中川の女の元に歌を詠みかけるが、既に心変わりしてしま…

短冊440

440 とんて入月なん火打灘袋 日州佐土原清茂

天治本万葉集の発見された冠纓(かんえい)神社

天治本万葉集―冠纓神社蔵 重要文化財 (1983年) 高松市香南町由佐 冠櫻神社には、万葉集写本「天治本」が所蔵されている。万葉集写本では、皇室の「桂本」、国宝の「藍紙本」「元暦校本」「金沢本」が有名だが、この「天治本」はこれらに次いで古い平安時代…

短冊439

439 たれとても一夜庵たるうたの月 清栄

短冊438

438 身に入て一夜庵哉不去不来 日州佐土原宗僚

短冊437

437 とんて入月なん火打灘袋 日州佐土原 清茂

佐藤義清(西行)出家後のこと

今夜の「平清盛」(第十章 もののけの涙) 冒頭 京随一のもののふと呼ばれた義清が出家したことは、多くの人たちに少なからぬ波紋をなげかけた。 「義清は私の罪深さを背負うて出家したようなものじゃ……すまぬことをした」 「それはちがいまする。義清殿は、璋…

山折哲雄、この一句

柿食えば阿吽の力士南大門 山折哲雄 飄々とした哲学者らしい、なかなかの秀句と思う。

地震(ない)の名句名歌はこれ

四肢へ地震(ない) ただ轟々と 轟々と 高野ムツオ 東日本大震災津波の惨状を見てただ茫然と立ち尽くした時の衝撃の一句という。 この浜によみがえるべし 少年の少女の 祖父の祖母の足跡 三枝昴之

難読語「柞」

これが「イスノキ」「イス」「ヒョンノキ」と呼ばれ「柞」の国訓。 普通この漢字は「ははそ」と読み、「柞葉(ははそは)の母」のように枕詞にも使われ、櫟・楢などの総称としても使われる。 我が町「柞田」は「くにた」と称されるが、どの木であるかは決めら…

西行八百年忌の落椿

西行の終焉の地弘川寺八百年忌の落椿かな 西行の八百年前逝きしとき桜木の下に椿落ちたり 再会も果たせず八百年忌の日ただ落椿を嘆きたりけり 二十三年前の西行八百年忌U子来たらずただ落椿 『西行伝説の風景』 作品解説平成元年、西行八百年忌に出版され…

旅にしあれば椎の葉に盛る

『万葉集』有間皇子辞世(自傷歌) 磐代の 浜松が枝を 引き結び ま幸くあらば また還り見む(巻2-141) 家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る(巻2-142) 『日本書紀』より引用する有間皇子謀殺事件の経緯 (三年)九月に、有間皇子、性黠くし…

傾蓋

『孔子家語(致思)』に次のような故事が書かれている。 孔子が郯に行こうとしていた。途中で程子に出会い、互いに馬車の蓋(かさ)を傾けて語り、終日共に親しんだ。顧みて子路に言った。「束帛を取って先生に贈りなさい」と。 「傾蓋」とは、一見して古くから…

森川義信の名詩「勾配」

戦没詩人【森川義信】 観音寺市粟井町本庄 筑摩書房の高等学校用『現代文』教科書に載せられている。先輩をこの教科書で学習し、教えることに誇りを感じている。教科書準拠『演習国語Ⅱ』では、森川義信の代表作「勾配」が載せられている。 勾 配 森川義信 …

短冊436

436 とそ見えし寒の花火のうてせ庵 親継

短冊435

435 ・火打灘ふりまつる時雨哉 日州佐土原・名氏正興

短冊434

434 紅葉はらむかう舟・よ・舟山を 日州佐京実有

西行散る桜

身を捨つる人はまことに捨つるかは 捨てぬ人こそ捨つるなりけれ 親友・平清盛の制止も聞かず 北面の武士・佐藤義清、突然髻を切り、出家遁世する。 藤本有紀作『平清盛』NHK大河ドラマ「第十章 義清散る」より抜粋 そよと風が吹き、義清の掌から花びらを…

短冊433

433 春約のいさみのほるや琴の峯 日向佐土原実次

短冊432

432 月は照とも七宝山の瀧時雨 重・

短冊431

431 澄月や一夜庵裏の主人公 日・ 祖晴

啐啄同時の時(『天皇と芸能』より)

啐啄同時眼 (禅宗の真髄として) さやけしなかひごを出づる鳥が音に藪しもわかずめぐる光は 啐啄同時・・・ 「啐」とは、雛がかえるとき、内側から卵の殻を吸ったりつついたりすること で、「啄」とは親鳥が外側から卵の殻をつつくこと。 ☆打てば響く、絶好の…

山頭火の句色紙展

森本朝子書道塾の初心者作品