源氏物語

本日の「みとよ源氏物語講座」は「蛍」の巻

「蛍」の巻 玉鬘は、源氏の親らしからぬ*懸想に苦しみ悩んだ。 五月雨の頃、兵部卿宮から玉鬘に文が届き、源氏はそれに返事を書かせた。喜び勇んで六条院にやってきた兵部卿宮の前で、源氏は几帳の内に「蛍」を放ち、その光で玉鬘の姿を浮かび上がらせて見…

今月の源氏物語講座は「蛍」の巻

源氏物語「蛍」 與謝野晶子訳 源氏の現在の地位はきわめて重いがもう廷臣としての繁忙もここまでは押し寄せて来ず、のどかな余裕のある生活ができるのであったから、源氏を信頼して来た恋人たちにもそれぞれ安定を与えることができた。しかも 対 ( たい )…

明日の源氏物語講座は「胡蝶」

「胡蝶」は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつ。第24帖。玉鬘十帖の第3帖。 巻名は紫の上と秋好中宮が贈答した和歌「花ぞののこてふをさへや下草に秋まつむしはうとく見るらむ」及び「こてふにもさそはれなまし心にありて八重山吹をへだてざれせば」によ…

本日の源氏物語講座は「初音」

原文を写本で読む 新春を迎えた六条院は、この世の極楽浄土の如く麗らかで素晴らしかった。源氏は春の町で紫の上と歌を詠み交わし、新年を寿いだ。紫の上の下で養育されている明石の姫君に生母明石の御方から贈り物と和歌が届き、源氏は娘との対面も叶わぬ…

今月の源氏物語講座は「乙女」の巻

「少女」は『源氏物語』第21帖。巻名は光源氏と夕霧の歌「をとめごも神さびぬらし天つ袖ふるき世の友よはひ経ぬれば」「日かげにもしるかりけめやをとめごがあまの羽袖にかけし心は」による。 光源氏(33歳の夏から35歳冬) 源氏の息子夕霧が、12歳で元服を迎…

「朝顔」の巻

『源氏物語』「朝顔」の巻(概説) 藤壺の死去と同じ頃、桃園式部卿宮が死去したので、その娘、朝顔は賀茂斎院を退いて邸にこもっていた。若い頃から朝顔に執着していた源氏は、朝顔と同居する叔母女五の宮の見舞いにかこつけ頻繁に桃園邸を訪ね、紫の上を不…

今月の古典講座は源氏物語「朝顔」を読む

朝 顔 『源氏物語』五十四帖の巻名。第20帖。巻名は光源氏と朝顔の歌「見しおりのつゆわすられぬ朝顔の花のさかりは過ぎやしぬらん」「秋はてて露のまがきにむすぼほれあるかなきかにうつる朝顔」による。朝顔が「槿(むくげ)」の古称でもあることから「槿(…

源氏物語への憬れ

更級日記 菅原孝標女 東路(あづまぢ)の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間、宵居(よひゐ)などに…

蛭子(えびす)神社

源氏物語「松風」に出てくる「蛭の子」にちなむ「蛭子(えびす・恵比寿)神社」は観音寺市財田川の河口近くにある。かつての船着き場であり、漁業の神様である。 蛭子町は町名改訂で西本町となるいうが、この歴史のある町名が消えるのはいかがなものか。

朝顔より夕顔

和歌の世界、また文学の世界で「夕顔」を題材にしたものは、 『枕草子』『源氏 物語』以前には取り上げられていない。 『枕草子』には、 「夕顔は、花のかたちも朝顔 に似て、言ひ続けたるにいとをかしかりぬべき花の姿に、実のありさま ..」とある。 『源…

今月の源氏物語講座は「松風」

テキストは青表紙本 東の院が美々しく落成したので、 花散里 ( はなちるさと ) といわれていた夫人を源氏は移らせた。西の対から 渡殿 ( わたどの ) へかけてをその居所に取って、事務の扱い所、 家司 ( けいし ) の詰め所なども備わった、源氏の夫人…

「野分・のわき」追録

与謝野晶子訳「源氏物語(野分・のわき)」 夕霧、継母紫の上を垣間見る。 南の御殿のほうも前の庭を修理させた直後であったから、この野分にもとあらの 小萩 ( こはぎ ) が奔放に枝を振り乱すのを傍観しているよりほかはなかった。枝が折られて露の宿とも…

今月の源氏物語講座は「松風」の巻

与謝野晶子訳『源氏物語』松風の巻 冒頭 あぢきなき松の風かな泣けばなき 小琴をとればおなじ音を弾 く (晶子) 東の院が美々しく落成したので、 花散里 ( はなちるさと ) といわれていた夫人を源氏は移らせた。西の対から 渡殿 ( わたどの ) へかけて…

今月の源氏物語は「絵合」

アーサー・ウェーレの源氏物語『The Tale Genji』をオーストラリア交換留学生ジャスティーンに講じたのは25年も前のことになります。

源氏物語八月講座は「関屋」の巻

「関屋」の巻の位置づけ 源氏物語の縦に流れる本筋の物語系列に「蓬生」「関屋」という帖が入り込んでいる。いわゆる「並びの巻」である。それぞれ以前に登場した末摘花と空蝉の後日談。ここでわざわざこの二人の話を出してきたのか。後からの挿入という説が…

今月の剣持源氏物語講座は「蓬生」の巻

♥不美人とはいえ、誠実な辛抱強い末摘花を忘れない光源氏を見倣いたい♥

『源氏物語』に没頭

『更級日記』の作者 『源氏物語』に没頭 かくのみ思ひくんじたるを、心も慰めむと、心苦しがりて、母、物語など求めて見せたまふに、げにおのづから慰みゆく。紫のゆかりを見て、続きの見まほしくおぼゆれど、人語らひなどもえせず。たれもいまだ都慣れぬほ…

光源氏と女人との相聞

源氏物語〈第一部〉 光源氏が女人と交わした相聞 ①藤壺 見てもまたあふよまれなる夢のうちにやがてまれなるわが身ともがな(光源氏) 世がたりに人や伝へんたぐひなくうき身を醒めぬ夢になしても (藤壺) ②若紫 ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草…

5月の源氏物語講座は「明石」の巻

嵐の「明石」冒頭部分の朗読テープを聴き、原文を読み取り、解釈をします。 なほ雨風やまず、雷鳴り静まらで、日ごろになりぬ。いとどものわびしきこと、数知らず、来し方行く先、悲しき御ありさまに、心強うしもえ思しなさず、「いかにせまし。かかりとて…

源氏物語の中の「衣配り」

源氏物語をひもとくと、光源氏が用意した女性たちのお正月の晴れ着の色を見ることができる。 『玉鬘』の巻 衣配りの段 「紅梅のいと紋浮きたる葡萄染の御小袿、 今様色のいとすぐれたる」 (紅梅のはっきりと模様が浮き出た葡萄染め) 玉蔓は、「曇りなく赤…

4/24 みとよ源氏物語講座は「須磨」の巻

なぜ源氏は須磨に流離しなければならなかったのか。 失脚、流謫、それとも自発的隠遁、漂泊の新境地を求めて? 須磨の秋、源氏憂愁の日々に涙で「枕浮きぬばかり」 『古今集』須磨における「心づくしの秋風」の歌はもちろん、 紫式部は『古今六帖』の人麻呂…

今月の剣持源氏物語講座は「須磨」の巻

青表紙本源氏物語「須磨」冒頭 須磨の巻(あらすじ) 朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は後見する東宮に累が及ばないよう、自ら須磨への退去を決意する。左大臣家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、東宮や女君たちには別れの文を送り、一…

源氏物語「須磨」の巻

四月の源氏物語講座は「須磨」の巻 「須磨」のあらすじ 朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は後見する東宮に累が及ばないよう、自ら須磨への退去を決意する。左大臣家家を始めとする親しい人々や藤壺に暇乞いをし、東宮や女君たちには別れの文を送…

今月の「源氏物語講座」は~花散里~

朧月夜との関係のことで政治的に窮地に追い込まれ、源氏は心細く、世の中から逃れ たい気持ちになる。そんな中、以前契りを交わしたことのある花散里を 訪れる。麗景殿邸に到着した源氏は、以前と変わらず待っていてくれた花散里の優しさにふれる。 花散里…

本居宣長『紫文要領』

宣長〈もののあはれ〉を説く最初の源氏物語論。 本書は源氏物語の主題を「もののあはれ」であるとする論を展開している。 「ただ人情の有りのまゝをしるして、見る人に人の情はかくのごとき物ぞといふ事をしらする也」とある。 宣長は奥書において本書の内容…

源氏物語・花散里(時鳥・橘)歌の贈答

光源氏25歳夏 五月雨の頃、源氏は故桐壺院の妃の一人麗景殿女御を訪ねる。妹の二の君(花散里)は源氏の恋人で、姉妹は院の没後源氏の庇護を頼りにひっそりと暮らしていた。訪問の途中、かつて会った中川の女の元に歌を詠みかけるが、既に心変わりしてしま…