造化随順(芭蕉の求めていたもの)

 
     造化に随い造化に帰れ

 銭金、学歴、名誉欲に捉われている人間は自分にとって、浮雲の如しである。
超世俗的生き方を続けている自分の気になる人、その人は芭蕉である。
「旅人と我名呼ばれん初しぐれ」の句碑を我が屋敷に自分で句碑として建て、以来数十年経つ。
 マイホーム主義に徹底抗戦、もしくは黙殺している変り者である。無一物でいい。特定の人にこだわらないが、ヒューマニスト(人道主義者)ではある。せせこましい執着心はない。自分の子孫を残そうとするのは生き物の本能であろうが、それに拘っていれば、それは真の人間ではない。普通の動植物と違って、真の人間、人間らしい人間は、それを超えて、自然の流れ、時の流れに随順する者でなければならない。
【造化随順】すなわち、私利私欲を離れて自然に身をゆだねる《無私の精神》に徹する必要がある。じたばたしても始まらない。私心を棄てて自然の摂理にみをゆだねることである。小理屈を言うこざかしい生き方も、物質・形式を偏重する生き方も取らないで、真に人間的な思い遣りの精神【純愛・至純】の識域に達し得なければならない。
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