暮しは低く、思いは高く

         低く生き、高く思う。                   ワーズワース(1802)
         Plain living and high thinking.

 ワーズワースのことばを内村鑑三は「低く生き、高く思う」と訳し、多くの人に共鳴された。ワーズワースは、簡素な生活と高尚な思考が失われたことを嘆いた。低く生きるとは、簡素な生活をすることである。ぜいたくに慣れ、享楽になじむと、根性が卑しくなる。多くを願うと、欲望にとらわれる。中野孝次は『清貧の思想』でこれを引用している。

 奈良県立十津川高等学校校歌         井本農一 作詞
1.大和の南 山深く 鬱然巨木立つところ
古き歴史の栄光になふ わが学びやを讃えなむ
剛毅素朴の生活の 中に秘めたる遠大の
理想の炬火を君見ずや
ああ「暮らしは低く 思ひは高く」
2. 流れは清し 十津川の 奔流岩をかむところ
郷土の希望ここに凝る わが学びやを讃えなむ
師友睦びて相励む 自由進取の学風に
玉置の山も動がずや
ああ「暮らしは低く 思ひは高く 思ひは高く」

 ★若い高校生に「暮らしは低く」はややピンとこない。質素倹約、清貧に甘んずるのは、『清貧の思想』に通じる。古風な俳諧芭蕉の研究者であれば当然かもしれないが…