万葉の百花15「月草」


       万葉の百花15「月草」
 ツユクサ(露草、学名: Commelina communis)は、ツユクサツユクサ属の一年生植物。畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。
 朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味を持つ。また「鴨跖草(つゆくさ、おうせきそう)」の字があてられることもある。ツユクサは古くは「つきくさ」と呼ばれており、それ以外に、この「つきくさ」が転じてツユクサになったという説もある。「つきくさ」は月草とも着草とも表され、『万葉集』では「月草」の表記が多い。この他、その特徴的な花の形から、蛍草や帽子花、花の鮮やかな青色から青花などの別名がある。
 万葉集には9首詠まれている。月草で染めた着物は、水で色が落ち易いことから、心変わりをたとえたり、この世のはかない命を表すのに、詠み込まれる。
583: 月草のうつろひやすく思へかも我が思ふ人の言も告げ来ぬ
1255: 月草に衣ぞ染むる君がため斑の衣摺らむと思ひて
1339: 月草に衣色どり摺らめどもうつろふ色と言ふが苦しさ
1351: 月草に衣は摺らむ朝露に濡れての後はうつろひぬとも
2281: 朝露に咲きすさびたる月草の日くたつなへに消ぬべく思ほゆ
2291: 朝咲き夕は消ぬる月草の消ぬべき恋も我れはするかも
2756: 月草の借れる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ
3058: うちひさす宮にはあれど月草のうつろふ心我が思はなくに
3059: 百に千に人は言ふとも月草のうつろふ心我れ持ためやも

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