2014-10-29 枕草子「言はで思ふぞ」 古典文学 #その他人文科学 心には下行く水のわきかへり 言はで思ふぞ言ふにまされる 読み人知らず 『古今六帖』 清少納言『枕草子』136段に引用されている ... 私の心の中には、表面からは見えない地下水が湧き返っているように、口に出さないけれど、あなたのことを思っ ています(その思いは口に出して言うよりずっと優っているのです) 長徳二年の里下りの時、なかなか再出仕に踏み切れなかった清少納言。 その気持ちを動かしたのは、やはり中宮定子でした。ある日、定子から送られてきた手紙を開けてみると、山吹の花が一つ包まれていました。その花びらに一言、 「いはで思ふぞ」と書かれていました。 それは、歌集『古今和歌六帖』に載っている上掲の歌です。 その意味が分かった清少納言は、定子さまの心の奥深さ、優しさが身に沁みるのでした。