『源氏物語』「野分」の巻

 
  今月の『源氏物語』講座は第28巻「野分」、多方面の文学作品に登場する「野分」効果を考察する予定である。受講生の皆さん、ご期待ください。
8月のある日、激しい野分が都を吹き荒れた。六条院の庭の草花も倒れ、そこへ訪れた夕霧は混乱の中で偶然紫の上の姿を垣間見、その美貌に衝撃を受ける。その後祖母大宮の元へ見舞いに参上してからも、爛漫の桜のような紫の上の艶姿は夕霧の脳裏に焼きついて消えなかった。
野分の去った翌日、源氏は夕霧を連れて、宿下がり中の秋好中宮を始めとする女君たちの見舞いに回った。玉鬘の元を訪れた時、こっそりと覗き見た夕霧は玉鬘の美しさに見とれると共に、親子とは思えない振舞いを見せる源氏に驚き不審に思う。とりどりに花のように美しい女性たちを思って心乱れつつ、雲居の雁へ文を送る夕霧だった。
 
枕草子』ほか随筆作品。芭蕉ほか古今の俳句作品。漱石の『野分』ほか近代小説。