朝倉瑠嶺子著『馬琴椿説弓張月の世界』

 
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 源家の御曹司鎮西為朝は稀代の弓の名手であった。保元の乱が勃発、為朝は上洛して、父と共に崇徳院側について戦うも敗北。その後のことは推して知るべし。
 馬琴代表作『椿説弓張月』の深奥に迫る力作。雄大、奇想天外な作品構成の中に潜む霊魂という隠微さを読み解く。 『弓張月』の神怪性に注目し、馬琴独自の鬼神論を展開。為朝の正妻白縫の奇譚をめぐって考察。
 本書五部構成。「ヒロインの神性」「御霊神崇徳院」「『弓張月』における道教世界」「為朝の変現」「馬琴と『西遊記』」巻末に信多純一の論考「三島由紀夫『日本文学小史』と馬琴」も掲載されている。