憶良の歌、芭蕉の句に見る【親心】
子等を思ふ歌 山上憶良
瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものぞ
眼交に もとなかかりて 安眠し寝さぬ ( 『万葉集』巻5-802)
銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも ( 〃 803) ...
銀母 金母玉母 奈爾世武爾 麻佐禮留多可良 古爾斯迦米夜母
富士川のほとりを行に、三つ計なる捨子の、哀気に泣有。この川の早瀬にかけて、うき世の波をしのぐにたへず、露計の命待間と捨て置けむ。
小萩がもとの秋の風、今宵や散るらん、明日や萎れんと、袂より喰物投げて通るに、
猿を聞人捨子に秋の風いかに
いかにぞや、汝父に悪まれたる歟、母に疎まれたるか。父は汝を悪むにあらじ、母は汝を疎むにあらじ。唯これ天にして、汝が性の拙きを泣け。
小萩がもとの秋の風、今宵や散るらん、明日や萎れんと、袂より喰物投げて通るに、
猿を聞人捨子に秋の風いかに
いかにぞや、汝父に悪まれたる歟、母に疎まれたるか。父は汝を悪むにあらじ、母は汝を疎むにあらじ。唯これ天にして、汝が性の拙きを泣け。