万葉時代もウナギは夏痩せに⋯⋯
鰻(うなぎ)は、万葉時代には「むなぎ」と呼ばれていて、現在のように夏痩せにいいと言われていた。
痩人を嗤笑ふ歌 二首 大伴家持が形飢饉に似た吉田連老(字、石麻呂)を
巻16-3853 石麻呂に我れ物申す夏痩せによしといふものぞ鰻捕り食せ
〃 3854 痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻を捕ると川に流るな
(蛇足)
今、漁業におけるウナギ ウナギ漁法
日本では重要な食用魚の一つで、年間11万トンもの鰻が消費されている。成体となったウナギや加工ウナギの輸入に加え、20世紀後半頃には養殖技術が確立され、養殖に必要となる稚魚の輸入も行われるようになった。しかしながら野生のウナギ(天然もの)の人気は根強く、釣りや延縄などで漁獲されている。 さらにウナギに的を絞った伝統漁法も各地にある。
うなぎ掻き 棒の先に鉤を付けたものを巧みに操り、ウナギを引っ掛ける
うなぎ塚 ウナギの生息域にこぶし大以上の石を積み上げておき、石の隙間に潜んだウナギを捕る。ほうっておくと泥が詰まりうなぎが入らなくなるため、定期的に組み直す必要がある。遊漁券も売られている。
うなぎ筒 竹筒などをウナギの生息域に仕掛けておき、ウナギが筒の中で休んでいる時に筒を引き揚げて捕る。筒の片方のみ解放されているもの、両方が解放されているもの、返しがついていて一度入ると出られないものなどがある。うなぎは新しい匂いのするものには入らないため、新しく作った筒は数週間水没させるか土中に埋める必要がある。
遊漁としての釣りにおいてはミミズ等を餌にした釣り方が一般的。ウナギは嗅覚に優れるため、一般的な集魚剤等、不自然な匂いのするものは食べない。よく釣れる時間帯は一般に日没から2時間前後だが、場所によっては日没から日の出まで釣れる。餌釣りでの方法としては、ブッコミ釣り(鯉などのブッコミ仕掛けの変形、一本針が基本)、置き釣り(ウナギが通りそうな場所に針と糸が付いた竹杭を刺してしばらく置く)、穴釣り(昼間ウナギがいそうな穴に小魚等を付けるための先端にまっすぐな針を付けた竹の棒と、針と糸を持ち、直接入れて釣る)等があり、特に置き釣りと穴釣りはウナギ以外には見られない釣り方である。ただ、ウナギ自体は簡単に釣れるが、釣れる場所を見つけるのは簡単ではないのでウナギを狙う釣り人は釣れる場所をあまり公開したがらない。特に穴釣りは一度ウナギを釣った後でも、良い穴にはすぐにまた新しいうなぎが入るため、穴を覚える釣りである。 また、河川ではなく、汽水域や外海に生息するウナギは青うなぎと呼ばれ、川魚特有の臭みもなく非常に珍重される。特に岡山県児島湾の青うなぎは有名である。