芭蕉の一期一会

        
        俳諧(本来は座の文学)では【一期一会】の精神が大切

 座の文学としての連句を作る場面で、即座に付句をしなければならない。
 芭蕉はそのことを次のように教えている文がある。
 「師のいはく、学ぶことはつねに有。席に望て文台と我との間に髪をいれず。
 思ふ事速に云出て…」(あかさうし)
 芭蕉が座の空気を大事にしていたかが分かる。
 茶の席が「一期一会」の心得を尊重しているのと相通うところがある。
  俳諧というのは独吟もあるが、本来は複数の人の共同制作である。
  「文代引き下ろせば即反故なり」とも言っている「俳諧」「連句」の坐である。
  一期一会の緊張した精神を大切にせよと門弟に教示しているように思われる。
  山本健吉が『俳諧の心と方法』で上掲のようなことを述べている。