「梅」の語源・字源

    【梅・楳】 略史 
 別名に好文木(こうぶんぼく)、春告草(はるつげぐさ)、木の花(このはな)、初名草(はつなぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、風待草(かぜまちぐさ)、匂草(においぐさ)などがある。それだけ日本人に親しまれた花の歴史を保ちもっている。
 『萬葉集』には桜より梅の方が三倍多く詠まれている奈良時代。中国より香気あふれ気品ある梅が輸入され珍重された。奈良時代以前に「花」といえば、むしろウメを指すことの方が多かった。ウメよりサクラがより一般に愛好され始めるのは、平安時代からのことである。ウメは古里(奈良平城京)の静かな美しさと文化的郷愁の花、古典的なものとなる。
 天文14年(1545)4月17日に当時の天皇が、京都の賀茂神社に梅を奉納したと『御湯殿上日記』にあることにちなみ、「紀州梅の会」が新暦の6月6日を梅の日に定めている。 また、古来より梅の名所として「梅は岡本」と言われた。平安時代碩学菅原道真が梅をこよなく愛したことから、学問の神天神さまのシンボルとして使用されることが多い。
「ウメ」の語源には諸説ある。ひとつは中国語の「梅」(マイあるいはメイ)の転という説で、伝来当時の日本人は、鼻音の前に軽い鼻音を重ねていた。mme(ンメ)のように発音していた。これが「ムメ」のように表記され、さらに読まれることで「mume」となり「ume」と転訛したとも言われる。