万葉「滝の歌」

     万葉の歌に詠まれた滝の歌 声出し読めばこころ清しく    雅澄
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        『万葉集』に詠まれた「滝」の歌(短歌)は22首
242 滝の上の三船の山に居る雲の常にあらむと我が思はなくに
313  み吉野の滝の白波知らねども語りし継げばいにしへ思ほゆ
909  山高み白木綿花におちたぎつ瀧の河内は見れど飽かぬかも
910  神からか見が欲しからむみ吉野の滝の河内は見れど飽かぬかも
912  泊瀬女の造る木綿花み吉野の滝の水沫に咲きにけらずや
914  滝の上の三船の山は畏けど思ひ忘るる時も日もなし
922  皆人の命も我れもみ吉野の滝の常磐の常ならぬかも
960  隼人の瀬戸の巌も鮎走る吉野の瀧になほしかずけり
1104 馬並めてみ吉野川を見まく欲りうち越え来てぞ瀧に遊びつる
1034 いにしへゆ人の言ひ来る老人の変若つといふ水ぞ名に負ふ瀧の瀬
1035 田跡川の瀧を清みかいにしへゆ宮仕へけむ多芸の野の上に
1104 馬並めてみ吉野川を見まく欲りうち越え来てぞ瀧に遊びつる
1113 この小川霧ぞ結べるたぎちゆく走井の上に言挙げせねども
1713 滝の上の三船の山ゆ秋津辺に来鳴き渡るは誰れ呼子
1722 吉野川川波高み滝の浦を見ずかなりなむ恋しけまくに
1737 大滝を過ぎて夏身に近づきて清き川瀬を見るがさやけさ
1868 かはづ鳴く吉野の川の滝の上の馬酔木の花ぞはしに置くなゆめ
2717 朝東風にゐで越す波の外目にも逢はぬものゆゑ瀧もとどろに
2840 いくばくも降らぬ雨ゆゑ我が背子が御名のここだく瀧もとどろに
3015 神のごと聞こゆる瀧の白波の面知る君が見えぬこのころ
3016 山川の瀧にまされる恋すとぞ人知りにける間なくし思へば
3233 み吉野の瀧もとどろに落つる白波留まりにし妹に見せまく欲しき
3617 石走る瀧もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ
 ★見れど飽かぬ【視覚的】滝とたぎち(滾)とどろく(轟)【聴覚的】滝が相半ばする。
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なお、百人一首に次の歌があることは周知のことであろう。
滝の音は絶えて久しくなりなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ  公任