中井虎男筆墨格言集

 ① 新昌閑居し、楊郎中兄弟を招く (七言律詩の四・五句)   白居易
    但有雙松當砌下 (但双の松砌の下に当るあり)
    更無一事到心中 (更に一事心の中に到る無し)

  ② 皇風・六合 明徳輝八紘

  ③ 百姓昭明、協和万邦    伝説の王堯を讃えた文。

   九族既睦  九族既に睦みて
   平章百姓  百姓を平章し   (それぞれの分を弁え)
  百姓昭明  百姓昭明にして  (人々がそれぞれ徳を明らかにし)
  協和萬邦  萬邦を協和し   (世界の共存繁栄をはかり)
    「百姓昭明」の【昭】と「協和萬邦」の【和】の熟合で【昭和】とされた。

   ④『易経』坤、文言
   積善之家必有餘慶。積不善之家必有餘殃。
 (積善の家には必ず余慶有り。積不善の家には必ず余殃有あり)
積善 … 善行を積み重ねる。  余慶 … 祖先のしたよいによって子孫にまで及ぶ    幸福。 積不善 … 不善を積み重ねる。 余殃 … 先祖の犯した悪事の報いとして子孫に及ぶ災難。

⑤ 霜蓬老鬢三分白 露菊新花一半黄    (九月八日酬皇甫十見贈白居易
     霜蓬の老鬢は三分白し、露菊の新花は一半黄なり。

⑥ 応無所住 而生其心 
    応(まさ)に住する所無くして而も其の心を生ず       『金剛経

⑦躬行以率之、教之本也。不言而化之、教之神也。
                 『南洲手抄言志録』二二

⑧大道無門  千差有路 透得此関 乾坤に独歩
        (大道無門 千差路有り 此の関を透得せば 乾坤に独歩せん)
   真理の世界、悟りの世界に到るには、どの道を択び、どこから入ればよいかなどというこだわりは不要である。禅の悟りには文字や言葉によらずに、その本質である仏性を直視する。         宋の時代の無門慧開著『無門関』
 
⑨誠は天の道なり 之を誠にするは人の道なり
     誠者 天之道也 誠之者 人之道也
      誠は天の道なりこれを誠にするは人の道なり。     『中庸』第十一章
⑩徳不孤 必有隣
  他者を思う道徳心のある人は、孤立するものではない。必ず隣人がいる。
                    『論語』里仁篇