万葉の百花2「梅」

   万葉の百花2「梅」
万葉集』に119首詠まれ、萩に継いで2番目に多い。巻5に「太宰帥大伴の卿の宅に宴してよめる梅の花の歌三十二首」が、漢文風の序とともに一括して収められている。これで「桜」より多くなり、「花」と言えばこの時代「梅」とするのは、いささか早計かもしれない。
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820: 梅の花今盛りなり思ふどちかざしにしてな今盛りなり
821: 青柳梅との花を折りかざし飲みての後は散りぬともよし
822: 我が園に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
823: 梅の花散らくはいづくしかすがにこの城の山に雪は降りつつ
824: 梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも
825: 梅の花咲きたる園の青柳を蘰にしつつ遊び暮らさな
826: うち靡く春の柳と我がやどの梅の花とをいかにか分かむ
827: 春されば木末隠りて鴬ぞ鳴きて去ぬなる梅が下枝に
828: 人ごとに折りかざしつつ遊べどもいやめづらしき梅の花かも
829: 梅の花咲きて散りなば桜花継ぎて咲くべくなりにてあらずや</p>
830: 万代に年は来経とも梅の花絶ゆることなく咲きわたるべし
831: 春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜寐も寝なくに
832: 梅の花折りてかざせる諸人は今日の間は楽しくあるべし
833: 年のはに春の来らばかくしこそ梅をかざして楽しく飲まめ
834: 梅の花今盛りなり百鳥の声の恋しき春来るらし
835: 春さらば逢はむと思ひし梅の花今日の遊びに相見つるかも
836: 梅の花手折りかざして遊べども飽き足らぬ日は今日にしありけり
837: 春の野に鳴くや鴬なつけむと我が家の園に梅が花咲く
838: 梅の花散り乱ひたる岡びには鴬鳴くも春かたまけて
839: 春の野に霧立ちわたり降る雪と人の見るまで梅の花散る
840: 春柳かづらに折りし梅の花誰れか浮かべし酒坏の上に
841: 鴬の音聞くなへに梅の花我家の園に咲きて散る見ゆ
842: 我がやどの梅の下枝に遊びつつ鴬鳴くも散らまく惜しみ
843: 梅の花折りかざしつつ諸人の遊ぶを見れば都しぞ思ふ
844: 妹が家に雪かも降ると見るまでにここだもまがふ梅の花かも