12月の万葉講座は「藤原京」の歌
藤原宮の役民(えきのたみ)の作れる歌 『万葉集』巻1-50
やすみしし わご大王(おほきみ) 高照らす 日の皇子 荒栲(たへ)の 藤原がうへに 食(を)す国を 見(め)し給はむと 都宮(みあらか)は 高知らさむと 神ながら 思ほすなへに 天地(あめつち)も 寄りてあれこそ 石走(いはばし)る 淡海(あふみ)の国の 衣手(ころもで)の 田上山(たなかみやま)の 真木(まき)さく 檜(ひ)の嬬手(つまで)を もののふの 八十氏河(やそうぢがわ)に 玉藻なす 浮かべ流せれ 其(そ)を取ると さわく御民(みたみ)も 家忘れ 身もたな知らず 鴨じもの 水に浮きゐて わが作る 日の御門(みかど)に 知らぬ国 寄(よ)し巨勢道(こせぢ)より わが国は 常世(とこよ)にならむ 図(ふみ)負へる 神(くす)しき亀も 新代(あらたよ)と 泉の河に 持ち越せる 真木の嬬手を 百足(ももた)らず 筏に作り 泝(のぼ)すらむ 勤(いそ)はく見れば 神ながらならし
建材は筏を組んで近江から川の流れを利用して奈良飛鳥へと運んだ。