平安京の土器の平仮名和歌の訓み

   いくよしもあらしわかを□を…
平安京にあった貴族藤原良相邸宅跡(京都市中京区)で2011年に出土した土器片(9世紀後半)に記されていた最古級平仮名は、最初の勅撰和歌集古今和歌集」にある「幾世しも」の歌とする新説を南條佳代仏教大講師(日本書道史)が21日までに同大学の紀要に発表した。
 約40字書かれているが、意味がよく分かっていなかった。文字の練習に和歌を書いたとみられ、初期平仮名の姿を知る有力な史料になりそうだ。
 南條講師が分析したのは、土師器に記された平仮名。これまでの京都市埋蔵文化財研究所の資料などでは中心部の文字は「いくよしみすらキれ□□ち」とされていた。(□は欠字など)
 いく世しもあらじわが身を なぞもかく海人の刈る藻に思ひ乱るる (古今集)
 
 いくよしみすらキれ□□ち  (キれ□□が訓みにくかった部分)  
 いくよしもあらしわか□を  (このように訓めると言う) □…ここだけが不明
 いくよしもあらじわがみを   (これが従来の古今の歌) これにほぼ該当する。