バーチャル連句 芭蕉・琴姫「父母の」の巻 両吟

バーチャル連句 「父母の」の巻  芭蕉・琴姫両吟 
 
父母のしきりに恋し雉の声    芭蕉
 伊予の高嶺に残る白雪     琴姫
干鱈裂く女は独り躑躅生けて    蕉
 ここを先途と落人部落        琴
名月や池をめぐりて夜もすがら   蕉
 菊酒を酌むけふの仕合せ     琴
砧打ちて我に聞かせよ坊が妻     蕉
  海水を引く今治の城        琴
定まらぬ娘のこころ取り静め      蕉
  伊賀上野とふ遠国に嫁す     琴
琵琶行の夜や三味線の音激し   蕉
 不老長寿の妙薬を呑む       琴
蛸壺やはかなき夢を夏の月     蕉
 水音涼し松風の渓           琴
草庵に暫く居てはうち破り       蕉
 命うれしき佳き人に逢ふ       琴
日は花に暮れて寂しやあすならふ 蕉
 蝶の出て舞ふ大原の里       琴
鶯を魂に眠るか嬌柳           琴
 飲まぬが分別医者の薬は     蕉
潔癖な人に似合はぬ世迷言     琴
 琴弾く娘十八とかや           蕉
寒けれど二人寝る夜は頼もしき    琴
 臍の緒に泣くこの年の暮             蕉
万葉に伊勢を重ねて草枕        琴
 西行ならば女歌詠む           蕉 
笈に太刀飾られてある神の棚     琴
  めでたき人も老い争へず         蕉
元禄の御代永劫の月今宵       琴
 容顔無礼萩の寝像は          蕉
ひょろひょろと姿現す女郎花      琴
  何を相手に居合一抜き         蕉  
闘犬を見所として宇和の郷       琴
  春爛漫の茜風吹く              蕉         
法悦の翁とながむ伊予桜        琴
  人の世の春ここに極まる        蕉
          満尾 平成26年5月24日