奥の細道 田植歌
『奥の細道』 田植歌
とかくして越行まゝに、あぶくま川を渡る。左に会津根高く、右に岩城・相馬・三春の庄、常陸・下野の地をさかひて山つらなる。かげ沼と云所を行に、今日は空曇て物影うつらず。すか川の駅に等窮といふものを尋て、四、五日とゞめらる。先「白河の関いかにこえつるや」と問。「長途のくるしみ、心身つかれ、且は風景に魂うばゝれ、懐旧に腸を断て、はかばかしう思ひめぐらさず。
風流の初やおくの田植うた★
無下にこえんもさすがに」と語れば、脇・第三とつゞけて三巻となしぬ。
風流の初やおくの田植うた★
無下にこえんもさすがに」と語れば、脇・第三とつゞけて三巻となしぬ。
(注)
水せきて昼寝の石やなをすらん 曽良
★この田植歌がどんなものであったか、今更知れる者はない。早乙女たちが声をそろえて歌う労働歌であったであろうが…
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水せきて昼寝の石やなをすらん | 曾良 |