2013-01-28 生れる五か月前 随想記 #ノンフィクション、エッセイ 僕を孕んでいる母 母は小学校の裁縫の先生をしていた。僕の生まれた頃も。昭和12年3月卒業生の記念写真があるのを今見ていると、「そうだ、おふくろの腹の中には妊娠5か月の胎児の僕がいるのだ」と思うと、なにか不思議な気がしてくる。心なしか、少しお腹がふくらんでいるような気もしてくる。横に並んでいるのは小田先生。大の仲良しであったことを覚えている。二人とも今では遠い遠い人となっている。生きていたら110歳くらい。それでも写真はまだ30代のうら若き女教師である。 お腹に僕のいる母