カメラを持たずに

 
 持ってきたはずのカメラを持っていない。
 それならば、言葉だけで勝負しなければなるまい。
 母の実家。そこは何もなく、コンクリートを敷き詰めている。
 それでも、そこを写真に撮りたい。
 何もない悲しみを撮りたい。
 今日はそれも撮れない。
 ならば、一句を…
  師走風ただその空地吹き過ぐのみ
 帰宅すれば、今年35通目の喪中ハガキが来ていた。
 
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