旅の歌百首

    
     旅の思い出歌十首
 
 下駄履で伯耆大山彷徨ひし戦後間もない大学時代

 はやまってはいけませんなど大山の宿の女中が火鉢持ち来て

 希望というあなたをたずね津軽への旅の先には道拓かれず

 大陸に第二の故郷築かんと似非聖業に立ち出でし父

 満洲の大地へ父の弔いに戦争遺児がこぞりて行けり

 日中の友好の旅と銘打って父の慰霊の旅に出でたり

 連句巻くを主眼とせし旅職員旅行観一国語科文学花園

 退職をしてすぐ奥の細道の逆回り始む岐阜大垣より

  お遍路の四国八十八ケ所の接待手伝う道順なれば

 西行ほど行脚修行の心なき芭蕉の遊行風雅まだるし

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