能「西行桜」
西行桜 四番目略三番 (太鼓あり)
シテ 老桜の精 季 春
ワキ 西行法師 所 京都・西行庵
ワキヅレ 花見の人
西行桜
作者(年代) 世阿弥(室町時代) 能柄<上演時の分類>
現行上演流派 観世・宝生・金春・金剛・喜多
本説<典拠となる作品>『山家集』 西行桜は、世阿弥作の能楽作
次第
ワキツレ 「頃待ち得たる桜狩。頃待ち得たる桜狩。山路の春に急がん。
ワキツレ 詞「かやうに候ふ者は。下京辺に住居仕る者にて候。さても我春になり候へば。
こゝかしこの花をながめ。さながら山野に日を送り候。
昨日は東山地主の桜を一見仕りて候。
今日はまた西山西行の庵室の花。盛なるよし承り及び候ふ間。
花見の人々を伴ひ。唯今西山西行の庵室へと急ぎ候。
道行「百千鳥。囀る春は物毎に。囀る春は物毎に。あらたまりゆく日数経て。 頃も弥生の。空なれややよ止まりて花の友。知るも知らぬも諸共に。 誰も花なる。心かな誰も花なる心かな。
一行は西行の庵に着くと、狂言に対して是非中に入れて桜の花を見せてくれと頼むが、狂言は先ほど誰も入れるなといわれている手前、改めて主人の意向を聞いてまいるといって、西行の下にいく。
ワキツレ詞「急ぎ候ふ程に。これははや西行の庵室に着きて候。暫く皆々御待ち候へ。
某案内を申さうずるにて候。いかに案内申し候。