万葉「黄葉」の歌

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  『万葉集』の「もみち」はすべて「黄葉」なり 「紅葉」の表記は絶無に近し
      「黄葉」の歌例
1591: 黄葉の過ぎまく惜しみ思ふどち遊ぶ今夜は明けずもあらぬか
1604: 秋されば春日の山の黄葉見る奈良の都の荒るらく惜しも
1623: 我が宿にもみつ蝦手見るごとに妹を懸けつつ恋ひぬ日はなし
1676: 背の山に黄葉常敷く神岳の山の黄葉は今日か散るらむ
1703: 雲隠り雁鳴く時は秋山の黄葉片待つ時は過ぐれど
1758: 筑波嶺の裾廻の田居に秋田刈る妹がり遣らむ黄葉手折らな
1796: 黄葉の過ぎにし子らと携はり遊びし礒を見れば悲しも
2183: 雁がねは今は来鳴きぬ我が待ちし黄葉早継げ待たば苦しも
2184: 秋山をゆめ人懸くな忘れにしその黄葉の思ほゆらくに
2185: 大坂を我が越え来れば二上に黄葉流るしぐれ降りつつ
2187: 妹が袖巻来の山の朝露ににほふ黄葉の散らまく惜しも
2188: 黄葉のにほひは繁ししかれども妻梨の木を手折りかざさむ
2189: 露霜の寒き夕の秋風にもみちにけらし妻梨の木は
2190: 我が門の浅茅色づく吉隠の浪柴の野の黄葉散るらし
2194: 雁がねの来鳴きしなへに韓衣龍田の山はもみちそめたり
2195: 雁がねの声聞くなへに明日よりは春日の山はもみちそめなむ
2196: しぐれの雨間なくし降れば真木の葉も争ひかねて色づきにけり
2197: いちしろくしぐれの雨は降らなくに大城の山は色づきにけり
2198: 風吹けば黄葉散りつつすくなくも吾の松原清くあらなくに
2199: 物思ふと隠らひ居りて今日見れば春日の山は色づきにけり
2200: 九月の白露負ひてあしひきの山のもみたむ見まくしもよし
2201: 妹がりと馬に鞍置きて生駒山うち越え来れば黄葉散りつつ
2202: 黄葉する時になるらし月人の桂の枝の色づく見れば
2203: 里ゆ異に霜は置くらし高松の野山づかさの色づく見れば
2204: 秋風の日に異に吹けば露を重み萩の下葉は色づきにけり
2205: 秋萩の下葉もみちぬあらたまの月の経ぬれば風をいたみかも
2206: まそ鏡南淵山は今日もかも白露置きて黄葉散るらむ
2207: 我がやどの浅茅色づく吉隠の夏身の上にしぐれ降るらし
2208: 雁がねの寒く鳴きしゆ水茎の岡の葛葉は色づきにけり
2209: 秋萩の下葉の黄葉花に継ぎ時過ぎゆかば後恋ひむかも
2210: 明日香川黄葉流る葛城の山の木の葉は今し散るらし
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