文学に実験という言葉なし

【出典】  三省堂  『大辞林第三版』には次のようにある。
   〈実験小説〉
① フランスの小説家ゾラの唱えた自然主義小説の方法論。自然科学上の実験と観察の方法を文学に適用して,一定の遺伝条件と環境の中に置かれた人間の運命を正確に記録しようとするもの。
② 新しい文学を求める意図のもとに書かれた前衛的小説の総称。ジョイスプルーストコクトーらの作品,ヌーボー-ロマンなど。
 
 〈邪説・蛇足〉小細工を弄さず、ありのまま自然と人間を観察・考察・想像をして、創作(フィクション)を楽しむ【文学】の対極にある科学。精緻・正確にして論理構造を旨とする科学。
 文学者としては、科学者の風下にあって、その余燼を拝するのみにしてコンプレックスを如何ともなし難い。大言壮語したとて実証の手続きを棚上げして明晰な頭脳に太刀打ちできない宿命を背負っている浮薄なる文学。その危うさに立つ文学者。
 もしお前に文学的実験が可能ならばそれを試みてみよ。