水上特攻【学徒出陣】訓練・辞世

       水上特攻【学徒出陣】訓練の一端・辞世抄
第一章 豊浜の生活
一、生活すべてが新しい経験
1 学徒としては慣れない生活
「朝はタワシ摩擦から始まる訓練はすさまじいものがあるとともに、当時の戦況に対応を求める肉体、精神はもちろんのこと、初級将校としての資格を徹底的に植えつけられた。(藤井真治・十一期生)
「禁酒、禁煙であったが、どこという事もなく煙草がはいり、官給品以外の食物がはいってきた。」煙が流れて、非常呼集がかかったこともある。
「隊を組んで堂々外出、民家で外食し二等兵に降格された候補生もあった。みかんの皮を栄養として食べたこと」もあるという。(松田清・十二期生)
「足が砂にめりこむグランド、高いコンクリートの壁、しかしおそろしい古兵のいないことと、魚のうまいことだけは救いだった」(横尾博之・十一期生)
第二章 豊浜の訓練
1 訓練の厳しさ
第一区隊から第三区隊までが甲板部要員、第四部及び第五区隊が機関部要員である。甲板部甲板部に属しているわれわれは六分儀(兵器)の使い方、天測暦、海図に位置の線求め、手旗、モールス訓練および旗旛の挙げ方など徹底的鍛えられる。毎朝行われる手旗信号稽古は、読解の早いものの順に寝室に帰ることになる。遅いものは朝めしが冷たくなっている。うらめしい限りであった。
前期に比して後期は豊浜港の波むしぶきと共に海風肌をさす寒さで、手はしもやけとあかぎれで難渋している候補生も出た。(山元善壽・十二期生) 
「辞世・絶筆」
第十期生卒業『辞世集』より
 大君の御楯となりて征く友に
我も劣らず米英うたむ     浅井栄一(富山県)
 賤が身をおほみ光に包まれて
国の基となれるうれしさ    松村文男(山口県)
 国の為嵐に向ふ山桜
咲くは何処ぞ靖国の森    引田耕一郎(千葉県)
 水漬くとも清く散りなん若桜
などかえりみん大和魂    篠崎圭二(群馬県)