益軒『養生訓』に従えず。

 誰しも願う【長寿】…かの有名な貝原益軒『養生訓』には、次のように述べられている。
 【寿命は養生で延びる】
 人の身は百年を以て期とす。上寿は百歳、中寿は八十、下寿は六十なり。六十以上は長生なり。世上の人を見るに、下寿をたもつ人少なく、五十以下短命なる人多し。人生七十古来稀なり、といへるは、虚語にあらず。長命なる人すくなし。五十なれば不夭と云て、わか死にあらず。人の命なんぞこの如くみじかきや。これ、皆、養生の術なければなり。短命なるは生れ付て短きにはあらず。十人に九人は皆みづからそこなへるなり。ここを以て、人皆養生の術なくんばあるべからず。

【人生は六十から】
 人生五十にいたらざれば、血気いまだ定まらず。知恵いまだ開けず、古今にうとくして、世変になれず。言あやまり多く、行悔多し。人生の理も楽もいまだしらず。五十にいたらずして死するを夭(わかじに)と云。これまた、不幸短命と云べし。長生すれば、楽多く益多し。日々にいまだ知らざることをしり、月々にいまだ能せざることをよくす。この故に学問の長進することも、知識の明達なることも、長生せざれば得がたし。
 ここを以て養生の術を行なひ、いかにもして天年をたもち、五十歳をこえ、成べきほどは弥長生して、六十以上の寿域に登るべし。古人長生の術あることをいへり。また、「人の命は我にあり。天にあらず」ともいへれば、この術に志だにふかくば、長生をたもつこと、人力を以ていかにもなし得べき理あり。うたがふべからず。只気あらくして、慾をほしゐままにして、こらえず、慎なき人は、長生を得べからず。
 
 
★小生、難癖をつければ、
「一口で『禁欲』ですか。それもつらいですね。せっかくこの世に生まれたのですから、欲望を抑制したくないですね。少々長生きするために『禁欲』とはね…」一凡人