ビッグニュース 『夜の寝覚』古筆切発見

 平安後期の長編王朝文学「夜の寝覚ねざめ」の失われた最終部(末尾欠巻部)の一部を写した南北朝時代の古筆切(こひつぎれ)が京都市で見つかり、東京の実践女子大が購入した。鑑定した国文学者の横井孝・同大教授によると、末尾欠巻部と特定できる古筆切は初めて。同じ部分の写本ではないかと推測されていた古筆切9点とも類似するため、合わせて約2000字の本文を復元できる可能性が出てきた。
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 『夜の寝覚』  平安時代後期の作り物語
 女性の主人公「寝覚の上」がさまざまな男性に愛される波乱の生涯を描いた物語。11世紀後半に『更級日記』の作者菅原孝標女が書いたとする説が有力。
原本はなくその写本が残されているが、時代が経るうちに物語の中盤と末尾が大きく失われ、詳しい内容や結末が分からなくなり、「幻の物語」とも呼ばれていた。
 このほど、京都の古書店が持っていた古い掛け軸の書1枚について、平安時代の文学に詳しい実践女子大学の横井孝教授が鑑定したところ、『夜の寝覚』の中で詠まれていたとされる和歌だった。
『夜の寝覚』は、今回見つかった写本の一部以外にも同じ筆跡のものが、これまでに10枚前後見つかっていて、これらを合わせると、物語の結末に近い場面が復元できる。横井孝教授は「長く幻と思われていた物語が、現実に文字として現れたのは感無量で、平安時代の傑作の全容を知る手がかりになる」と話す。