「史跡」看板に疑問

 
椿説弓張月』は史実を忠実に再現しているわけではない。そこに固有名詞や地名があったとて、「史跡」と名づけて遺跡・石碑に史実であるかのごとく示すのは、疑問である。史実を忠実に書いた史書でもない読本の内容を地元贔屓・我田引水で「史跡」と決めつけるのは、問題である。
 
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 『弓張月』読本(文学作品、史書ではなくフィクションがある。史実と見るのは早計)
 
 物話は、鎮西八郎を称した源為朝の活躍を『保元物語』(あくまでも物語文学)にほぼ忠実に描いた前篇・後篇と、琉球に渡った為朝が琉球王国を再建(為朝が琉球へ逃れ、その子が初代琉球舜天になったという伝説がある)するくだりを創作した続篇・拾遺・残篇からなる。日本史のなかでも悲劇の英雄の一人に数えられる源為朝に脚光を当て、その英雄流転譚を琉球王国建国にまつわる伝承にからめた後編は、そのスケールの大きさと展開力で好評を博した。