剣持歳時記・秋

取り入れ祝歌

取り入れを祝福するのは蝶と薔薇 昔のことは遠く忘れて

セイタカアワダチソウ

泡立草 秋の麒麟草と 似而非なる 雅人

後の祭り

秋祭り今年も告白できなくて

シマトネリコの花

秋晴れや 校庭に地味な花の房

秋草の花に見蕩れて

人間の世を逃れ来て秋の草 雅人

黄菊白菊

黄菊白菊其外の花はなくも哉 服部嵐雪 仲間にも入らなくともカンナ咲く 雅舟

曼珠沙華

つきぬけて天井の紺曼珠沙華 山口誓子 秋彼岸過ぎようやくに晴れ 野口雅子

紅白の彼岸花

つきぬけて天上の紺曼珠沙華 誓子 紅白の彼岸花なる奇異に遭ふ 雅子

彼岸花に寄せて

秋彼岸 故里の墓地に 佇みて 南無阿弥陀浄土に往くのか 天国か 行き先違えば再び会えぬ

オシロイバナニに小貝蝶

彼岸会やオシロイバナに小貝蝶

濁流に呑まれず

濁流に呑まれぬ小鳥のしたたかさ

彼岸の蝶

紋白が紋黄待ちゐる彼岸の野

女郎花(オミナエシ)

女郎花咲かせて人は姿見えず 雅人

葛の花

葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり 『海やまのあひだ』 釈超空

絶品「豹紋蝶」

豹紋を秋桜と共に捉えたり これ以上なき花蝶を捉えたり

この世の花=紅葉の美

散るもみじ散らぬもみじも散るもみじ

菊なれば小菊と言へど懐かしや

菊なれば小菊と言えど懐かしや 聞くなれば小聞くと言えど懐かしや

桜紅葉の美しや

色合いの極致見せつけ桜紅葉

秋空は澄んで

枯枝に生き残りたる柿葉かな 時雨来る気配もありて宗鑑忌 パンパスや何用のため植ゑられし

紅葉の葉子

寺社街中どこの紅葉も心の葉 葉子 紅葉の今日の幸せ明日もあれ 雅人

小菊たち

控えめに生きて小菊の恋さまざま 冴子

「烏瓜」一句

娑婆になほ縁しのありて烏瓜 五黄

萩さまざま

俳人も全て逝き過ぐ 萩もまた 雅舟

棹川穂芒

棹川のどこまで続く 穂芒は 雅人

秋遍路

秋遍路晴れる日曇る石蕗迎え 冴子

茶の花

香川県三豊市高瀬町二ノ宮はお茶どころ。町の木も茶です。茶の花が咲いています。 茶の花や裏門へ出る豆腐売り 蕪村 茶の花に兎の耳のさはるかな暁台 茶の花に隠れんぼする雀哉 一茶 茶の花や畚の乳子に月あかり 芝不器男 茶の花のとぼしきままに愛でにけり …

秋空紅葉、人間は要らない。

秋空の青に惹かれて プラタナスか何か知らないけれど紅葉に映ず 冴子

秋遍路 第68番小松尾山大興寺

さぬき路となり遍路笠古びけり

紅葉晴れ

出歩かず 我が家に籠もる 紅葉晴れ 雅舟 一枚が 万倍となり 紅葉晴れ 〃

秋の蝶

遠き日のあなたかもしれぬ秋の蝶 雅人