豊浜、富士紡績の廃墟

 この広大な敷地は、何に使おうとするのか、知らない。甲子園より大きい野球場ができる。サッカー場ももちろんできる。香川県の西の果て、観音寺市豊浜町姫浜で燧灘に面している。
 
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  戦時中は陸軍船舶航空隊が駐屯して、ここは繋留地であった。
 
 豊浜町姫浜の富士紡豊浜工場には暁部隊(通称)が駐屯していた。正式名称「陸軍船舶兵特別幹部候補生隊・暁2940部隊於保部隊」である。昭和十八年十二月「特幹」制度が設けられ、船舶兵の下士官を養成するものであった。ところが、陸軍上層部では極秘のうちに○レ艇という小型ボートに二五〇キログラム爆雷二個を搭載して敵艦に体当たりする「海上廷進船隊」(海上特攻)構想が浮上、この特幹一九〇〇名があてられることになる。「船舶隊の歌」の一節は次のようであった。
「暁映ゆる瀬戸の海 昇る朝日の島影に 偲ぶ神武の御東征や 五条の勅諭畏みて われら海の子は 水漬く屍と身を捧ぐ ああ忠烈の船舶隊」
昭和六十年十月幹候在隊者の「豊浜会」が一の宮の名籍を納め、鎮魂を祈念している。昭和五十七年創刊の豊浜会会報「あかつき」は平成十四年第十八号を重ねている。その最新号に「・・・この犠牲になり我が友人たちは多く散華したかと思うと『将帥無能にして万骨枯る』の言葉がぴったりだ。戦友の無念の歯軋りが聞こえてきそうだ。親友三人を○レ特攻で失っている私は靖国神社の参拝で『安らかに眠れ』とは言いかねる」(十一期岡本正)という一節もあった。