芦原すなお『ユングフラウ』

 
 先輩文庫 芦原すなおユングフラウ
 
 98年から01年にかけて小説すばるに連載されたものの単行本化。
 08年刊。
 タイトルは、ドイツ語の直訳で若婦人。本文にもあるように通意で乙女、聖母。
 同時に、アルプス山脈の地名でもある。
 都会の生活には無縁の大自然の絶景と言えるその山に社会人に成りたての頃登った彼女が、若き編集者としての日常を経て成長していく様を描く。物語の最後にもう一度長期休暇をとってその山に登るということは、いかに都会の雑踏に日常の雑事にまみれても、根はその壮大な大自然の山に保ち続けていること、端的に自然を健全に糧にしていることを表現している。
 
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ユングフラウ Jungfrau ( 「乙女」「処女」の意)
スイスベルン州のベルナ―・オーバーラン地方にあるアルプス山脈の山で、ユングフラウ山地の最高峰