母逝きて半世紀

 
      挽歌10首       雅澄(傘寿)     平成29年9月28日 詠
 
  昭和四十二年九月二十八日母葬れり彼岸花野に

  曼殊沙華茂く咲く野道ははそはの母を送りしは半世紀前

    半世紀前に母上葬りし彼岸花咲く野辺を送りて

  その当時土葬が普通棺桶に入れてそのまま埋葬をせし

  六十を少し過ぎたるばかりにて戦争未亡人母逝きにけり

  三人の子を終戦後ひたすらに母の手の一つで育て上げたり

  恩返し少しもせずに逝かしめし我不孝者と自らを責む

  子育てを終わるとすぐに天国の夫のもとに旅立ちにけり

  我がつとめ終わりしごとくそそくさと天国の夫のもとに逝きたり

  「思い出に浸りて哭けり虫の声」戦争未亡人母の辞世句