挽歌10首

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        有縁の死者へ挽歌10首  

  その前夜電話して来し教え子は焼身自殺遂げてしまえり

  浪人中交通事故で亡くなりてすでに半世紀茫々として

  ははそはの母もそのころ亡くなりし病死と思えば諦めつくか

  ちちのみの父は満洲開拓団戦後引き揚げ途中で逝けり

  叔父二人戦没者なり祖母一人取り遺されし廃残の身で

  継母来ていじめ受けたることなけれど抗うごとく自死せし少年

  病死せし嬰児を抱いていつまでも名を呼びし母も遠い遠い人

  三人の親友みんな死にゆけり今更友は要らないと思う

  過去人に拘るなかれ残された時いとおしむことを忘れて

  命には限界あれど心あること成しおけば永遠に生きらる