国木田独歩「野は黄昏の芒かな」

      国木田独歩『武蔵野』より
 日が落ちる、野は風が強く吹く、林は鳴る、武蔵野は暮れんとする、寒さが身に 沁 む、その時は路をいそぎたまえ、顧みて思わず新月が枯林の梢の横に寒い光を放っているのを見る。風が今にも梢から月を吹き落としそうである。突然また野に出る。君はその時、  
山は暮れ野はたそがれ の 薄 かな                
の名句を思いだすだろう。                     (蕪村の句)


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