2016-12-07 国木田独歩「野は黄昏の芒かな」 文藝 #その他文学 国木田独歩『武蔵野』より 日が落ちる、野は風が強く吹く、林は鳴る、武蔵野は暮れんとする、寒さが身に 沁() む、その時は路をいそぎたまえ、顧みて思わず新月が枯林の梢の横に寒い光を放っているのを見る。風が今にも梢から月を吹き落としそうである。突然また野に出る。君はその時、 山は暮れ野はたそがれ() の 薄() かな の名句を思いだすだろう。 (蕪村の句)