今月の徒然草講座【教訓の章段】

      教訓をテーマにした章段
 ① 仁和寺にある法師(52段)
宿願であった清水八幡宮の参宮を果したと思ったが、付属の寺社を拝んで帰った失敗談。 高良神社は一の鳥居をくぐって右側にある末社のはずなのに、早合点もほどほどにと言いたいが、本人は思い詰めだったのか。 ●「何事にも水先案内人・指導者がほしい」という教訓。
 ② ある人弓射ること習ふに(92段)
弓を習う人は二本の矢を持つべきではなく、一本に全てをかけるべきだ。夕べには朝、朝には夕べのあることを思うべきではない。4ボール、3ストライクが限度の野球ルール。一球で決める「一球入魂」にするわけにもいかぬか。●ゆとりもいいが、「心の緩みを戒めなければならない」
 ③ 獅子の立ちやう(236段)
社前の獅子や狛犬が反対向きになっているのを何か由来があるのものと感心したが、後で子供のいたずらだとわかった。人を欺く贋作もあって、芸術作品評価には要注意である。悪意がなければ、模倣作品も許される場合もあろうか。●「表面だけ見て判断すべきものではない」 
 ④ 高名の木登り(109段)
高名の木登りが木に人を登らせたとき、地上近くなって初めて、気を付けて下りるように忠告した。 交通事故も自分の家に近くなって起こす場合が多いとも言う。ここぞという勘所がなかなかつかみにくい。気の緩みはどんな時に起きるのか。●「安心していると、最後に失敗するから気を付けねばならない」