剣持日録抄(平成26年)

     雅澄日記(平成二十六年)
 一月三十一日(金)晴
今年も早一カ月が終わった。小品「芭蕉讃岐行」十章を書き、明日からは小説を書き始めようと思う。芭蕉は讃岐に来ていないのに、来たとすれば…構想も何もないのに、書けるかどうか。今夜一晩で決めねばならない。自分の一生の総まとめを一晩で方向づけられるかどうか。
 二月二十四日(月)晴
去年に続き、観南小三年生の総合学習で一夜庵へ。まず、三架橋のたもと一夜庵案内句碑の前で前置き。短冊例句十余句を朗読させる。総持院の坐石句碑を経て、興昌寺一夜庵での説明。自分で俳句を作ることの大切さを強調しておく。
 五月六日(火)晴
親子三人で愛媛一日の旅。東温市東洋城一畳庵、波止浜小島の砲台跡、藤堂高虎による今治城、西条氷見石岡神社芭蕉句碑、慈眼寺金子城址芭蕉墓。島田邸の芭蕉句碑は夕暮れとなっていたが、持ち主の厚意により邸内に入らせてもらえた。
 八月二十九日(金)曇時々雨
観一国語科職員OB会、月見の舞にて。一一名、量子幹事長の仕切り。クイズ、これまでの職員旅行中のこと、よく覚えていて答えられるものだと感心する。これまでの連句抄、皆に渡す。反応はない。これから出す小説『芭蕉来讃夢』に載せるのだが、どう評価してくれるか。
 十月十日(木)曇後晴
午後、萩原小学校訪問。戦死した義久叔父、昭和十三年四月~昭和十八年九月の五年六カ月勤務していたことが分かる。自分が六歳の時召集になったことが分かる。叔父と写した写真が一枚ある。国民学校に入る前の年になる。我が子のように僕を抱いてくれている写真。
 十一月十五日(土)晴
源氏今年度で終わらすために三巻を一回ですます。竹河・橋姫・椎本を二時間でまとめてしまう。これまで一回一巻、三年間続けてきた『源氏物語』講座。後三回で終えることにしている。受講生のびんびんとした反応はない大野原古典文学講座、十四年が経過しようとしている。