剣持日録抄(平成18年)

  雅澄日記(平成十八年)
  三月二十九日(水)
坂出市万葉会館へ万葉色紙四十点(人麻呂歌三十、その他十)郵送する。明日午前中に着くとのこと。細川先生が喜んでくれるはず。半永久的に保存し、人にも見てもらえる。我が家にも自作万葉歌絵二千点(万葉全歌)保存。今からまだまだ時間がかかるが、どうしてもこれは成し遂げたい。
 四月八日(土)晴
坂出駅から歩いて沙弥島の万葉会館へ行くのに方向を間違えていた。遠回りもいいところ、三時間ほどかかって二時にやっと着く。すでに送り届けていた色紙、分類整理して展示されていた。自分がその場にいたら、雑然としていただろう。人任せもいいものだ。帰りは坂出駅までバスで。
 六月二日(金)晴
生きているか死んでいるか、今日生きた証しは何かと問われたら、はなはだ怪しい。色紙何枚描いたとて、後世に残るか。芸術品として表現されていない、模写になんの値打ちがあるか。一夜庵の興昌寺山ミニ八十八ヵ所逆打ち。由井悦美さんが数多巡った所。そして…
  八月十八日(金)曇一時雨
渡月橋』製本、渡月に渡す。二千円札(『源氏物語』鈴虫の巻)も一緒に。「感動した」と。この子の素直さ、爽やかさ。すずのおっとり。波音のこましゃくれ。三人三様。嵐が過ぎ去ったよう。十二時半頃帰ってゆく。会場で悪徳商法の話(二時~三時半)聞きに行く。その間ずっと明日の源氏予習。
 十月二十八日(土)晴
小説「三船祭」六四頁、最終頁付け加え、いよいよこれで完成稿とする。うーむ、どうだろう。小説と言うよりは連歌制作過程の過ぎない、と悲観的にも見られるが、新しい境地開拓の面白いユニークな作品と言えるかもしれない。本日のレビュー順位九一八位、六四九冊/六八六票。
 十一月十九日(日)曇
二宮小学校文化祭へ。体育館で芸能発表会観る。高木明君、大西信子さん、近藤智美さん、国土君に会い、心和む。お茶畑色紙二十枚近く、「野口雅澄先生」として展示されていてうれしい。展示即売したふるさとまつりの色紙がここに残されていたのだ。募金四百円。
 十二月八日(金)雨後曇
図書館で八冊借りてきて三冊はレビュー書けそう。
毎日こういう生活を続けて一年、そうしてもう一年続けてもよい。千冊は一つの目標。どんなにつまらないレビューでも、これだけ積み重ねたら、その数だけでも価値があるのではないか。ゆとりの生活、余生十年が目見当。