「勾配」詩碑を守らむ

       勾 配       森川義信
  非望のきはみ
  非望のいのち
  はげしくも一つのものに向って    
  誰がこの階段をおりていつたか
  時空をこえて屹立する地平をのぞんで
  そこに立てば
  かきむしるやうに悲風はつんざき
  季節はすでに終りであつた
  たかだかと欲望の精神に
  はたして時は
  噴水や花を象眼
  光彩の地平をもちあげたか
  清純なものばかりを打ちくだいて
  なに故にここまで来たのか
  だがみよ 
  きびしく勾配に根をささへ
  ふとした流れの凹みから雑草のかげから 
  いつもの道は はじまつてゐるのだ       (香川県観音寺市粟井町本庄)
イメージ 1
     
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
     廃屋の前に立ちたる「勾配」詩碑 守るは自分と思ひ定めぬ
     後継者遠く去りたる勾配詩碑 戦没詩人とわに忘れじ
           生あらば名だたる詩人となっている戦没故に草葉に埋もる
     今人は森川義信知らざらむ ビルマに逝きし戦没詩人