バショウを植えて(松尾芭蕉)

     李下、芭蕉を送る
  ばせを植てまづ憎む荻の二ば哉   『続深川集』
 
 門人李下から送られたバショウを庵の庭に植えてみると、さっそく根元に荻が芽を吹いた。バショウの肥しを取られてしまうのではないかと、憎らしく なる。
荻はもともと憎むべき存在のものではなく、薄に劣らず風雅なものだが、バショウと比べれば、それが蔓延ることを嫌がっている。
 延宝2年(1674) 芭蕉31歳の頃、草庵を芭蕉庵と呼び、自ら芭蕉と号す。
 
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           庭に植えるものではないと貶されし芭蕉が何かも知らぬ隣人  雅舟
     芭蕉とは何たるかをも知らずして悪口言ひし人も逝きたり     〃