芭蕉の身代り支考、来讃

    松涼し鶴のこころにも一夜庵   支考  (興昌寺に直筆短冊保存)
 
 各務支考の来讃の主目的は、宗鑑終焉の地「一夜庵」を訪れることであった。
先師芭蕉の果たせなかった夢でもあった。讃岐紀行。宝永二年夏、讃岐丸亀に渡り、琴平・仁尾・観音寺・大野原と西讃各地を訪れた。

  金毘羅山、神法楽    松葉散る嵐やそつと神の幣
  善通寺西行松    松を見て身を知る葛の若葉哉 
  仁尾、網之浦      南無あみの浦とやあまの夕涼 
  仁尾、常徳寺     磯の香をはなれて清し松の蝉 
  観音寺、有明浜    有明の浜や昼顔咲きながら 
  観音寺、琴弾八幡   琴の音や弓矢のいとま夕涼み 
  一夜庵宗鑑旧跡    松かげや鶴の心にも一夜庵
  観音寺、神恵院    さびしさはをのれ頼まじ閑子鳥
  観音寺、一砂亭    俳諧に寝ころびがたし蓮のうへ 
  観音寺、月下亭    芍薬や下戸と上戸と花二輪
  大野原、春水亭    弓張に放つ影ありほととぎす