加藤楸邨、この名句

 加藤 楸邨 (明治38年5月26日~平成5年7月3日 ) 俳人 楸邨は「真実感合」を唱え、人の内面心理を詠むことを追求し、人間探究派と呼ばれた。代表的な句に「寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃」「鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる」などがある。
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       天の川鷹は飼はれて眠りをり     楸邨
 
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    火の奥に牡丹崩るるさまを見つ   楸邨 
上句には長い前書がある。「五月二十三日、夜大編隊侵入、母を金沢に疎関せしめ上州に楚秋と訣れ、帰宅せし直後なり、わが家罹災」
 この「火」は焼夷弾による炎上した火である。紅連の炎の中で、静かに焼かれていった牡丹。作者が人間をイメージして詠んだ句。何の罪もない、この国民の呻きを牡丹に託して詠んだ名句。